空隙歯列

歯と歯の間にすき間がある状態


空隙歯列による弊害

 発音がしにくい

 見た目が良くない

 食べ物が詰まりやすい


原因と治療例

①上唇小帯が下がっている事により、正中に空隙が生じている場合


まず上唇小帯形成術を行い、その形態を整えます。その後、経過観察をして自然に閉じる可能性が低いと診断されたら、矯正治療を行います。



②歯の大きさと顎(歯列・歯槽骨)の大きさのアンバランスにより空隙が生じる


つまり、歯の大きさが小さい、または、顎(歯列・歯槽骨)が大きい事により、空隙歯列になります。



<治療例>

治療前

舌突出癖もあり、上下の前歯が唇側に傾斜し、空隙歯列を呈しています。

治療後

ブラケットとワイヤーによる治療を行い、空隙歯列は改善されました。
舌突出癖に対する筋機能訓練も行い、歯列・咬み合わせも安定しています。

<笑顔の変化>

治療前

治療後

主訴
前歯にすき間がある
診断名
空隙歯列
年齢
17歳
治療に用いた装置
表側ブラケット装置
抜歯部位
非抜歯
治療期間
動的処置1年2か月+保定観察4年
治療費
検査・診断料 33,000円
装置料 682,000円
調節料 5,500円x 17回(動的処置)+5,500円x 16回(保定観察)


リスクと副作用

  • 治療中は、装置が付いているため歯が磨きにくくなります。むし歯や歯周病のりスクが高まりますので、丁寧に磨いたり、定期的なメンテナンスを受けたりすることが重要です。
  • 歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることがあります。また、歯ぐきがやせて下がることがあります。
  • 装置が外れた後、保定装置を指示通り使用しないと後戻りが生じる可能性が高くなります。
  • 加齢や歯周病等により歯を支えている骨がやせるとかみ合わせや歯並びが変化することがあります。その場合、再治療等が必要になることがあります。

③正中埋伏過剰歯による空隙

上の前歯に5mm以上の大きなすき間がある場合は、正中埋伏過剰歯の疑いがあるので、レントゲン写真で確認しましょう。


初診時、レントゲン写真を撮ったところ、


正中埋伏過剰歯があったので、東海大学付属病院の口腔外科で過剰歯を抜歯してもらい、経過観察をしました。


正中埋伏過剰歯抜歯後、1年経過。
抜歯前と比べると空隙は小さくなったが、左側には段差(矢印)があり、横の歯が生えてきても自然な閉鎖は困難と判断し、床矯正装置による治療を始めました。



矯正治療開始後6か月、空隙は閉鎖しました。

主訴
前歯にすき間がある
診断名
正中埋伏過剰歯を伴う空隙歯列
年齢
7歳
治療に用いた装置
床矯正装置
抜歯部位
非抜歯
治療期間
動的処置6か月+保定観察3年
治療費
検査・診断料 33,000円
装置料 275,000円
調節料 3,300円x 6回(動的処置)+3,300円x 12回(保定観察)


リスクと副作用

  • 装置の使用状況、定期的な通院等、矯正治療には患者さんの協力が非常に重要であり、それらが治療結果や治療期問に影響します。
  • 最初は矯正装置による不快感、痛み等があります。数日間~1、2週間で慣れることが多いです。
  • あごの成長発育・永久歯の萌出により、治療後もかみ合わせや歯並びが変化する可能性があります。
  • 今後、2期治療が必要になる可能性があります。

治療方法

床矯正装置または、ブラケットという装置を個々の歯に付けて、ワイヤーを通して歯を動かして、スペースを閉じます。