上顎前突

下の前歯に比べて上の前歯が突出した状態
上顎前突の形態的要因には、「骨格性の要因」と「歯性の要因」があります。

骨格性の要因


 骨格的に上顎骨が前方に出ている 矢印①

 骨格的に下顎骨が後方に引っ込んでいる 矢印②

歯性の要因


前歯の傾きが

 上の前歯が唇側(外側)に傾斜している 矢印③

 下の前歯が舌側(内側)に傾斜している 矢印④

上顎前突による弊害

 前歯が咬み合っていないので、咀嚼効率が悪い

 上の前歯をぶつけやすい

治療方法


小学生の場合


<FKO(機能的矯正装置)>

骨格的に下顎骨が引っ込んでいる場合に使用します。
下顎骨を前方に成長させ、また上顎前歯を舌側(内側)に傾斜させる効果があります。


<ヘッドギアー>

骨格的に上顎骨が前方に出ている場合に使用します。
上顎骨の成長を抑制する効果があります。


<床矯正装置>

骨格的には問題がなく、上の前歯が唇側(外側)に傾いている場合に使用します。
上の前歯を舌側(内側)に傾ける効果があります。

大人(中学生以降)の場合

ブラケットという装置を個々の歯に付けて、ワイヤーを通して歯を動かす治療方法になります


<治療例>

上の前歯にすき間があって、下の前歯と比べて前突して、前歯は咬み合っていません。
上顎両側第一小臼歯と下顎両側第二小臼歯を抜歯して、治療しました。



<側貌>

治療前

治療後

主訴
上の歯が出ている、前歯にすき間がある
診断名
上顎前突(上顎前歯空隙歯列)
年齢
17歳
治療に用いた装置
表側ブラケット装置
抜歯部位
上顎両側第一小臼歯および下顎両側第二小臼歯
治療期間
動的処置2年7か月+保定観察3年
治療費
検査・診断料 33,000円
装置料 682,000円
調節料 5,500円x 31回(動的処置)+5,500円x 12回(保定観察)


リスクと副作用

  • 治療中は、装置が付いているため歯が磨きにくくなります。むし歯や歯周病のりスクが 高まりますので、丁寧に磨いたり、定期的なメンテナンスを受けたりすることが重要です。
  • 歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることがあります。また、歯ぐきが やせて下がることがあります。
  • 装置が外れた後、保定装置を指示通り使用しないと後戻りが生じる可能性が高くなります。
  • 加齢や歯周病等により歯を支えている骨がやせるとかみ合わせや歯並びが変化することが あります。その場合、再治療等が必要になることがあります。

<治療例>

上の前歯が唇側に傾斜して、前突しています。
歯並びが凸凹して、上下の歯が咬み合っていません。

上口唇が突出しています。

上の前歯の唇側傾斜が改善され、上下の歯が全体で咬み合う様になりました。

上口唇の突出感も無くなりました。

主訴
上の歯が出ている、歯並びの凸凹
診断名
叢生を伴う上顎前突
年齢
26歳
治療に用いた装置
表側ブラケット装置
抜歯部位
上下顎左右第一小臼歯
治療期間
動的処置2年4か月+保定観察3年
治療費
検査・診断料 33,000円
装置料 682,000円
調節料 5,500円x 28回(動的処置)
+5,500円x 12回(保定観察)


リスクと副作用

  • 治療中は、装置が付いているため歯が磨きにくくなります。むし歯や歯周病のりスクが 高まりますので、丁寧に磨いたり、定期的なメンテナンスを受けたりすることが重要です。
  • 歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることがあります。また、歯ぐきが やせて下がることがあります。
  • 装置が外れた後、保定装置を指示通り使用しないと後戻りが生じる可能性が高くなります。
  • 加齢や歯周病等により歯を支えている骨がやせるとかみ合わせや歯並びが変化することが あります。その場合、再治療等が必要になることがあります。